世田谷区の戸建て458件を土地の形状別に見る
公開日: 2026-08-20
土地の形が価格にどう関係するのかを、世田谷区の戸建て(国土交通省の区分では「宅地(土地と建物)」)458件の成約データから、土地の形状別に整理しました。㎡単価の中央値でみると、最も高い「ほぼ整形」と最も低い「袋地等」の間には約1.56倍の開きがあります。一方、成約価格そのものの中央値では順位が入れ替わる区分もあり、単価だけを見ていると読み違えます。この記事では、その差を表の数字に即して確認し、ご自身の土地がどのあたりに位置するかを掴み、次に何を調べればよいかを整理します。
データ:世田谷区の戸建てを土地の形状で見る
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格(取引価格情報)から、2025年第1四半期〜2026年第1四半期に世田谷区で成約した戸建て(宅地(土地と建物))458件を、土地の形状の区分ごとに集計しました。㎡単価は成約価格を敷地面積で割った値、中央値は価格順に並べたときの真ん中の値です。件数が少ない区分は除外しています。
| 土地の形状 | 取引件数 | ㎡単価の中央値 | 成約価格の中央値 |
|---|---|---|---|
| ほぼ長方形 | 239 | 1,040,000円/㎡ | 10,000万円 |
| 長方形 | 129 | 1,044,444円/㎡ | 11,000万円 |
| 不整形 | 67 | 875,000円/㎡ | 10,000万円 |
| ほぼ整形 | 57 | 1,222,222円/㎡ | 12,000万円 |
| ほぼ台形 | 37 | 1,111,111円/㎡ | 14,000万円 |
| 袋地等 | 35 | 769,231円/㎡ | 8,600万円 |
| 台形 | 33 | 963,636円/㎡ | 8,700万円 |
| ほぼ正方形 | 26 | 902,619円/㎡ | 12,500万円 |
- ㎡単価の中央値がもっとも高いのは「ほぼ整形」の1,250,626円/㎡、もっとも低いのは「袋地等」の800,000円/㎡でした。差は450,626円/㎡で、倍率にすると約1.56倍です。同じ世田谷区の戸建てでも、形状の区分によって1㎡あたりの水準にこれだけの幅があります。
- 件数では「ほぼ長方形」176件と「長方形」101件で合計277件、458件全体の約60%を占めます。一方「不整形」43件と「袋地等」27件は合計70件で約15%です。整形に近い区分が多数派で、形に特徴のある土地は相対的に少数派という分布です。
- ㎡単価と総額では順位が入れ替わります。「不整形」は㎡単価の中央値が857,143円/㎡で下から2番目ですが、成約価格の中央値は11,000万円で「長方形」と同額です。逆に「台形」は㎡単価1,018,750円/㎡ながら、総額の中央値は8,800万円にとどまります。
- 成約価格の中央値の最高は「ほぼ台形」の14,000万円、最低は「袋地等」の8,600万円で、約1.63倍の差です。ただし「ほぼ台形」「袋地等」はいずれも27件と件数が限られるため、区分内のばらつきを含んだ目安として見る必要があります。
※ 世田谷区の「宅地(土地と建物)」のうち、土地の形状が記録されている取引623件の集計です。中央値は価格順に並べたときの中央の値で、平均とは違い極端な取引に引っ張られません。件数が20件未満の区分は、数字が安定しないため表に出していません。
対象期間: 2025年 第1四半期〜2026年 第1四半期/集計対象 623件。 中央値は、条件に当てはまる取引を価格順に並べたときのちょうど中央の値です。 個別の物件の価格ではなく、確定的な査定額でもありません。
出典: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産価格(取引価格情報)(当サイトが条件で絞り込み集計。加工方法は本文に明記)
形状の区分ごとに㎡単価の中央値はどれだけ違うか
まず1㎡あたりの水準を高い順に並べると、「ほぼ整形」1,250,626円/㎡、「ほぼ台形」1,090,909円/㎡、「長方形」1,052,632円/㎡、「ほぼ長方形」1,036,129円/㎡、「台形」1,018,750円/㎡、「ほぼ正方形」927,619円/㎡、「不整形」857,143円/㎡、「袋地等」800,000円/㎡となります。上位5区分は1,018,750円/㎡から1,250,626円/㎡の範囲に収まっており、その内側での差は比較的小さいことが分かります。
一方で下位の「不整形」と「袋地等」は、最多件数の「ほぼ長方形」1,036,129円/㎡と比べると、それぞれ約17%、約23%低い水準です。形状の区分によって差が出る背景としては、建物を配置できる範囲や有効に使える面積、隣地や道路との関係、造成や測量に手間がかかるかどうかなど、土地の使いやすさに関わる要素が価格の判断に反映されやすいことが一般に挙げられます。ただし、その要因ごとの影響度はこの表からは読み取れません。
注意したいのは、㎡単価が最も高かった「ほぼ整形」が40件、「ほぼ台形」が27件、「ほぼ正方形」が22件と、件数が限られる区分もある点です。件数が少ない区分の中央値は、区分内に含まれる立地や規模の偏りに左右されやすくなります。順位そのものを固定的に受け取らず、幅として捉えるのが実際的です。
- ㎡単価の中央値が1,000,000円/㎡を超えたのは「ほぼ整形」「ほぼ台形」「長方形」「ほぼ長方形」「台形」の5区分
- 「不整形」857,143円/㎡と「袋地等」800,000円/㎡は、最多件数の「ほぼ長方形」より約17%・約23%低い
- 最高と最低の差は450,626円/㎡(約1.56倍)
単価が低くても総額が下がらない区分がある
成約価格の中央値を並べると、「ほぼ台形」14,000万円、「ほぼ正方形」12,500万円、「ほぼ整形」12,000万円、「長方形」11,000万円、「不整形」11,000万円、「ほぼ長方形」10,000万円、「台形」8,800万円、「袋地等」8,600万円です。㎡単価の順位とは並び方がかなり変わります。
分かりやすいのが「不整形」です。㎡単価の中央値は857,143円/㎡で下から2番目にもかかわらず、成約価格の中央値は11,000万円で「長方形」と同額です。1㎡あたりの水準が低い区分で総額が同水準になるということは、その区分には敷地面積の大きい取引が多く含まれていると考えるのが自然です。逆に「台形」は㎡単価が1,018,750円/㎡で中位ながら、総額の中央値は8,800万円と下位にあり、こちらは面積が小さめの取引が多かったと読めます。
つまり、この表は「形状が価格をどれだけ下げるか」を単独で示すものではなく、形状の区分ごとに面積の傾向も違うことを含んだ数字だということです。売却を考えるときは、㎡単価と総額の2つを必ずセットで見て、自分の土地の面積を当てはめたときにどのあたりに来るかを確認してください。
名前の似た区分でも数字は同じにならない
区分名には「長方形」と「ほぼ長方形」、「台形」と「ほぼ台形」のように似た組み合わせがあります。㎡単価の中央値を比べると、「長方形」1,052,632円/㎡と「ほぼ長方形」1,036,129円/㎡の差は16,503円/㎡で、約1.6%の違いにとどまります。件数も101件と176件で、いずれも母数が確保されています。この2区分については、1㎡あたりの水準はほぼ並んでいると見てよいでしょう。
これに対し「台形」1,018,750円/㎡と「ほぼ台形」1,090,909円/㎡は差が72,159円/㎡(約7%)あり、成約価格の中央値では8,800万円と14,000万円で約1.59倍の開きになります。件数はどちらも27件ですから、この差は形状そのものよりも、区分内に含まれる物件の面積や立地の違いを反映している可能性が高いと考えられます。件数が少ない区分同士の比較は、慎重に扱う必要があります。
「袋地等」については、㎡単価800,000円/㎡・総額8,600万円でどちらも最も低い水準でした。道路に直接接していない土地では、建築基準法上の接道の扱いや通路部分の権利関係により、建て替えや工事の進め方に制約が生じる場合があります。具体的にどう扱われるかは土地ごとに異なるため、自治体の窓口や専門家への確認が前提になります。
自分の土地がどの区分に近いかを確かめる手順
この表を自分の物件に当てはめるには、まず土地の形と面積を客観的な資料で押さえることが出発点です。法務局で取得できる公図や地積測量図、売買時の資料、確定測量の記録などを見比べ、間口と奥行き、接している道路の幅や位置を確認します。形状の区分は取引時の申告に基づく分類であり、機械的に判定されるものではないため、「自分の土地はどの区分に近いか」という当たりを付ける使い方が現実的です。
次に、面積を掛け合わせて総額のレンジを見ます。たとえば該当しそうな区分の㎡単価の中央値に自分の敷地面積を掛ければ、この表の水準に沿った目安が出ます。そのうえで、同じ区分の成約価格の中央値と大きくずれていないかを確認してください。ずれが大きい場合は、面積が区分の中心から離れている可能性があります。
最後に、形状に起因して確認が必要な点を洗い出します。接道の状況、隣地との境界、越境物の有無、擁壁や高低差、上下水道の引き込み経路などです。これらは価格の判断だけでなく、引き渡し条件の話にも関わります。実際の査定と売却の実務は提携する専門業者が行いますので、資料を揃えた上で相談し、複数の見方を比べるとよいでしょう。
- 公図・地積測量図・過去の売買資料で形と面積を確認する
- 該当しそうな区分の㎡単価の中央値に自分の敷地面積を掛けて目安を出す
- 同じ区分の成約価格の中央値と比べ、ずれの大きさを見る
- 接道・境界・越境物・高低差・インフラ引き込みを個別に確認する
よくある質問
- Q. 自分の土地がどの形状区分にあたるのか、どう判断すればよいですか。
- A. 公図や地積測量図、購入時の資料で間口と奥行き、道路との接し方を確認するのが基本です。ただしこの集計の区分は取引時の申告に基づく分類で、厳密な定義で自動的に決まるものではありません。境界が不明確な場合や測量図が古い場合は、土地家屋調査士や専門業者に現況を見てもらったうえで、近い区分の数字を目安として参照する使い方が現実的です。
- Q. 「不整形」だと必ず安くなるのでしょうか。
- A. この表では「不整形」の㎡単価の中央値は857,143円/㎡で、最多件数の「ほぼ長方形」1,036,129円/㎡より約17%低い水準です。一方で成約価格の中央値は11,000万円で「長方形」と同額でした。1㎡あたりでは低めでも、総額では下位になっていません。中央値はあくまで区分内の真ん中の値であり、個別の物件は面積や立地によって上下します。
- Q. 「袋地等」の水準が最も低いのはなぜですか。
- A. ㎡単価800,000円/㎡、成約価格8,600万円と、いずれもこの集計で最も低い区分でした。理由はこの表からは読み取れませんが、一般には、道路に直接接していない土地では接道の扱いや通路部分の権利関係により、建て替えや工事の進め方に制約が生じる場合があることが挙げられます。適用は土地ごとに異なるため、自治体の建築窓口や専門家への確認が必要です。
- Q. この表の数字をそのまま売り出し価格の根拠にできますか。
- A. 目安として使えますが、根拠としては足りません。中央値は区分内の真ん中の値で、同じ区分でも駅からの距離、面積、建物の状態、道路条件によって幅があります。また「ほぼ台形」「袋地等」「ほぼ正方形」などは件数が20〜30件台で、区分内の偏りが出やすい規模です。実際の価格の判断は、資料を揃えたうえで提携の専門業者に相談し、複数の見方を比べて進めてください。
※ 本記事の数字は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報を当サイトが条件で絞り込んで集計したものです。中央値は条件に当てはまる取引を価格順に並べたときの中央の値であり、個別の物件の価格でも、確定的な査定額でもありません。当サイトは宅地建物取引業を行いません。実際の売却の手続き・査定は提携する専門業者が行います。税制・法令の適用可否は個別事情により異なりますので、税務署・税理士・司法書士等の専門家にご確認ください。
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