世田谷区の戸建てを用途地域別に見る 単価と価格の中央値1,181件
公開日: 2026-08-20
世田谷区で戸建ての売却を考えるとき、「同じ区内なのに近所の売値と自分の想定が合わない」と感じることがあります。その差の一因は、土地に定められた用途地域の違いです。この記事では、国土交通省の取引価格情報から、世田谷区の戸建て(区分では「宅地(土地と建物)」)1,181件を用途地域別に集計した表をもとに、㎡単価と成約価格の中央値がどう違うのかを読み解きます。数字が示す範囲だけを扱い、そこから自分の物件の位置づけを掴み、次に何を調べればよいかまで整理します。
データ:世田谷区の戸建てを用途地域で見る
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格(取引価格情報)から、世田谷区・種別「宅地(土地と建物)」の2025年第1四半期〜2026年第1四半期の取引を抽出し、用途地域ごとに件数・㎡単価の中央値・成約価格の中央値を集計しました。㎡単価は成約価格を敷地面積で割った値で、件数が少ない区分は除いています。
| 用途地域 | 取引件数 | ㎡単価の中央値 | 成約価格の中央値 |
|---|---|---|---|
| 第1種低層住居専用地域 | 889 | 950,000円/㎡ | 9,800万円 |
| 第1種中高層住居専用地域 | 247 | 1,080,000円/㎡ | 8,400万円 |
| 第1種住居地域 | 124 | 1,247,812円/㎡ | 8,850万円 |
| 近隣商業地域 | 72 | 1,653,334円/㎡ | 12,000万円 |
| 第2種低層住居専用地域 | 25 | 800,000円/㎡ | 8,800万円 |
- ㎡単価の中央値は、第1種低層住居専用地域が950,000円/㎡、第1種中高層住居専用地域が1,080,000円/㎡、第1種住居地域が1,263,158円/㎡、近隣商業地域が1,653,334円/㎡。低層住居専用地域と近隣商業地域では約1.74倍の開きがあり、住居系から商業系に向かうほど単価が上がる並びになっています。
- 成約価格の中央値では順序が入れ替わります。第1種低層住居専用地域は9,800万円で、㎡単価が上の第1種中高層住居専用地域の8,300万円を約1,500万円(約18%)上回り、第1種住居地域の8,800万円よりも高い水準です。単価だけでは総額の高低を説明できないことが分かります。
- 件数の偏りも大きく、1,181件のうち第1種低層住居専用地域が793件で全体の約67%を占めます。次に第1種中高層住居専用地域が217件(約18%)、第1種住居地域が109件(約9%)、近隣商業地域が62件(約5%)で、世田谷区の戸建て取引の中心は低層住居専用地域にあります。
- 最も高い中央値は近隣商業地域の11,500万円で、最も低い第1種中高層住居専用地域の8,300万円との差は3,200万円(約1.39倍)。同じ区・同じ戸建てでも、用途地域の区分をまたぐと中央値の水準がまとまって動くことが読み取れます。
※ 世田谷区の「宅地(土地と建物)」のうち、用途地域が記録されている取引1,357件の集計です。中央値は価格順に並べたときの中央の値で、平均とは違い極端な取引に引っ張られません。件数が25件未満の区分は、数字が安定しないため表に出していません。
対象期間: 2025年 第1四半期〜2026年 第1四半期/集計対象 1,357件。 中央値は、条件に当てはまる取引を価格順に並べたときのちょうど中央の値です。 個別の物件の価格ではなく、確定的な査定額でもありません。
出典: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産価格(取引価格情報)(当サイトが条件で絞り込み集計。加工方法は本文に明記)
㎡単価は住居系から商業系へ上がっていく
表の㎡単価の中央値(価格順に並べたときの真ん中の値)を並べると、第1種低層住居専用地域が950,000円/㎡、第1種中高層住居専用地域が1,080,000円/㎡、第1種住居地域が1,263,158円/㎡、近隣商業地域が1,653,334円/㎡です。低層住居専用地域を基準にすると、中高層住居専用地域は約1.14倍、第1種住居地域は約1.33倍、近隣商業地域は約1.74倍という並びになります。
用途地域は、その土地に建てられる建物の用途や規模の制限を定める都市計画上の区分です。一般に、住居専用の性格が強い区分ほど制限が細かく、商業系に近づくほど建てられる用途や規模の幅が広がります。土地1㎡あたりで実現できる使い方の幅が違えば、㎡単価に差が出るのは自然な結果と言えます。ただしこの表が示しているのは単価の水準差そのものであり、制限の内容と単価の関係を数値で結びつけるところまでは示していません。
注意したいのは、この㎡単価が敷地(土地)面積で割った値だという点です。マンションの専有面積ベースの単価とは意味が違うため、区内のマンション単価と直接比べても自分の戸建ての評価には結びつきません。比べるなら、同じ戸建て・同じ敷地面積ベースの数字同士で見ることになります。
単価と総額で順位が入れ替わる理由を面積から考える
成約価格の中央値を見ると、第1種低層住居専用地域が9,800万円、第1種中高層住居専用地域が8,300万円、第1種住居地域が8,800万円、近隣商業地域が11,500万円です。㎡単価では最も低かった低層住居専用地域が、総額の中央値では中高層住居専用地域を1,500万円(約18%)、第1種住居地域を1,000万円(約11%)上回っています。単価の順位と総額の順位が一致していません。
この入れ替わりは、取引されている敷地の広さが区分ごとに違うことを示唆します。参考として成約価格の中央値を㎡単価の中央値で割ると、第1種低層住居専用地域は約103㎡、第1種中高層住居専用地域は約77㎡、第1種住居地域と近隣商業地域はいずれも約70㎡という計算になります。ただしこれは中央値同士の割り算であり、実際の敷地面積の中央値そのものではないため、あくまで大きさの傾向をつかむための目安として扱ってください。
売却の場面で意味を持つのは、単価と面積のどちらか一方ではなく両方です。単価の高い区分でも敷地が小さければ総額は伸びず、単価が相対的に低い区分でも敷地が広ければ総額は上がります。自分の物件を位置づけるときは、まず「用途地域」と「敷地面積」の2つを手元の資料で確認するのが出発点になります。
件数の偏りが、比較のしやすさの差になる
1,181件の内訳は、第1種低層住居専用地域793件(約67%)、第1種中高層住居専用地域217件(約18%)、第1種住居地域109件(約9%)、近隣商業地域62件(約5%)です。低層住居専用地域が全体の3分の2を占め、近隣商業地域は793件に対して約13分の1の件数にとどまります。
件数が多い区分では、似た条件の取引を探しやすく、中央値も比較の目安として使いやすくなります。一方、近隣商業地域の62件のように件数が限られる区分では、区内でも立地や道路条件のばらつきが中央値に与える影響が相対的に大きくなります。この表の近隣商業地域の11,500万円という中央値は、そうした前提で「62件の真ん中」として読むのが妥当です。
なお、ここでの件数は集計対象期間に取引価格情報として公表された件数であり、世田谷区で売り出された物件の総数ではありません。件数の多寡は、その区分の物件が多いかどうかだけでなく、公表データの範囲にも左右されます。
- 第1種低層住居専用地域:793件(全体の約67%)
- 第1種中高層住居専用地域:217件(約18%)
- 第1種住居地域:109件(約9%)
- 近隣商業地域:62件(約5%)
自分の物件がどのあたりかを確かめる順番
最初に確認するのは、自分の土地がどの用途地域にあるかです。世田谷区の都市計画情報(区の窓口やウェブの都市計画図)で調べられ、購入時の重要事項説明書や登記関係の書類が残っていれば、そこに記載されている場合もあります。用途地域が分かれば、この表のどの行を目安にするかが決まります。
次に、登記簿や測量図で敷地面積を確認します。用途地域の行の㎡単価の中央値に自分の敷地面積を掛ければ、その区分の真ん中の水準に自分の面積を当てはめた場合のおおよその位置が見えます。ただし実際の評価は、駅からの距離、前面道路の幅や接道の状況、土地の形、建物の築年や状態などで動きます。この表はそうした条件の違いをまとめて含んだ中央値なので、あくまで出発点の目安です。
その先の具体的な金額は、物件を見た専門業者の査定で確認することになります。当サイトは宅地建物取引業を行わないため、査定や売却の実務は提携する専門業者が担います。相続や住み替え、空き家など事情によって税や手続きの取り扱いが変わる場合があり、譲渡所得や特例の適用は個別の事情により異なりますので、税務・法務の判断は税理士や司法書士などの専門家に確認してください。
よくある質問
- Q. 自分の土地の用途地域はどこで調べられますか。
- A. 世田谷区が公開している都市計画図や、区の都市計画に関する窓口で確認できます。購入時に受け取った重要事項説明書に記載されていることもあるため、書類が残っていればそちらを見るのが早い場合もあります。用途地域が分かると、この記事の表のどの行を目安にすればよいかが決まり、㎡単価と成約価格の中央値の水準を自分の物件に当てはめて考えやすくなります。
- Q. ㎡単価の中央値に自分の敷地面積を掛ければ売却価格が分かりますか。
- A. おおよその位置をつかむ目安にはなりますが、そのまま売却価格になるとは考えないでください。表の中央値は、駅距離、前面道路の状況、土地の形、建物の築年や状態といった条件の違いをすべて含んだうえでの真ん中の値です。同じ用途地域・同じ面積でも個別の条件で評価は動きます。実際の金額は物件を確認した専門業者の査定で把握することになります。
- Q. 近隣商業地域の中央値が最も高いのはなぜですか。
- A. 表から言えるのは、近隣商業地域の㎡単価の中央値が1,653,334円/㎡、成約価格の中央値が11,500万円で、いずれも4区分の中で最も高いという事実だけです。用途地域は建てられる建物の用途や規模の制限を定める区分で、商業系に近い区分では住居系より用途や規模の幅が広い傾向があります。ただし件数は62件と限られるため、区内の立地差が中央値に反映されやすい点も踏まえて読む必要があります。
- Q. 第1種低層住居専用地域は㎡単価が最も低いのに、総額の中央値が高いのはどう考えればよいですか。
- A. 取引された敷地の広さの違いが影響していると考えられます。成約価格の中央値を㎡単価の中央値で割ると、低層住居専用地域は約103㎡、中高層住居専用地域は約77㎡という計算になり、低層住居専用地域の方が広めの敷地の取引が中心である可能性を示します。これは中央値同士の割り算による目安で実際の面積の中央値ではありませんが、総額は単価と面積の掛け算で決まるという点は押さえておきたいところです。
※ 本記事の数字は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報を当サイトが条件で絞り込んで集計したものです。中央値は条件に当てはまる取引を価格順に並べたときの中央の値であり、個別の物件の価格でも、確定的な査定額でもありません。当サイトは宅地建物取引業を行いません。実際の売却の手続き・査定は提携する専門業者が行います。税制・法令の適用可否は個別事情により異なりますので、税務署・税理士・司法書士等の専門家にご確認ください。
この記事に関連するご相談
ご自身の物件がいくらで取引されているかは、かんたん診断で確認できます(入力1分・個人情報の入力は不要です)。