新宿区の中古マンション、築年数別に見た㎡単価と成約価格
公開日: 2026-08-20
新宿区で中古マンションの売却を考えるとき、「築年数が古いから安いのだろう」という漠然とした感覚だけで進めてしまうことがあります。この記事では、国土交通省が公開している実際の取引価格情報から、新宿区の中古マンション2,312件を築年数帯で区切って集計した表を読み解きます。㎡単価は築年帯が新しいほど高い一方で、成約価格の中央値は築年順に並んでいません。この「ねじれ」がどこから来るのかを数字に即して確認し、ご自身の物件がどのあたりに位置するのか、次に何を調べればよいのかを整理していきます。
データ:新宿区の中古マンションを築年数で見る
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格(取引価格情報)から、新宿区の中古マンション等について2025年第1四半期〜2026年第1四半期の取引を抽出し、築年数帯ごとに件数・㎡単価の中央値・成約価格の中央値を集計しました。件数が少ない区分は除外しています。合計2,312件です。
| 建築年 | 取引件数 | ㎡単価の中央値 | 成約価格の中央値 |
|---|---|---|---|
| 2021年以降 | 179 | 2,428,571円/㎡ | 11,000万円 |
| 2011〜2020年 | 617 | 1,714,286円/㎡ | 8,000万円 |
| 2001〜2010年 | 698 | 1,400,000円/㎡ | 5,750万円 |
| 1991〜2000年 | 286 | 1,200,000円/㎡ | 6,500万円 |
| 1981〜1990年 | 337 | 933,333円/㎡ | 3,200万円 |
| 1980年以前 | 372 | 780,909円/㎡ | 3,400万円 |
- ㎡単価の中央値は、1980年以前の780,000円/㎡、1981〜1990年の933,333円/㎡、1991〜2000年の1,200,000円/㎡、2001〜2010年の1,400,000円/㎡、2011〜2020年の1,714,286円/㎡、2021年以降の2,430,952円/㎡と、6区分すべてで築年帯が新しいほど高くなっています。最新区分と最古区分の差は約3.1倍です。
- 隣り合う区分の伸び幅は一定ではありません。1981〜1990年から1991〜2000年へは約29%、1991〜2000年から2001〜2010年へは約17%、2001〜2010年から2011〜2020年へは約22%、2011〜2020年から2021年以降へは約42%。伸びが最も大きいのは最も新しい区分への移り変わりです。
- 成約価格の中央値は築年順に並びません。1980年以前が3,400万円で1981〜1990年の3,100万円を上回り、1991〜2000年の6,600万円は2001〜2010年の6,100万円を上回っています。㎡単価は単調に上がっているため、この逆転は取引されている面積の違いを映していると読めます。
- 件数は2001〜2010年が634件で最多、次に2011〜2020年の575件が続きます。2021年以降は168件で最少です。2001年以降の3区分を合わせると1,377件で、全体2,312件の約6割にあたります。
※ 新宿区の「中古マンション等」のうち、建築年が記録されている取引2,489件の集計です。中央値は価格順に並べたときの中央の値で、平均とは違い極端な取引に引っ張られません。件数が25件未満の区分は、数字が安定しないため表に出していません。
対象期間: 2025年 第1四半期〜2026年 第1四半期/集計対象 2,489件。 中央値は、条件に当てはまる取引を価格順に並べたときのちょうど中央の値です。 個別の物件の価格ではなく、確定的な査定額でもありません。
出典: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産価格(取引価格情報)(当サイトが条件で絞り込み集計。加工方法は本文に明記)
㎡単価は築年帯が新しいほど高く、最古と最新で約3.1倍の差がある
まず面積の影響を取り除いた指標である㎡単価(成約価格を専有部分の面積で割った値)の中央値を見ます。中央値とは、価格順に並べたときの真ん中の値で、極端に高い取引や安い取引に引っ張られにくい性質があります。新宿区の中古マンションでは、1980年以前が780,000円/㎡、1981〜1990年が933,333円/㎡、1991〜2000年が1,200,000円/㎡、2001〜2010年が1,400,000円/㎡、2011〜2020年が1,714,286円/㎡、2021年以降が2,430,952円/㎡。6つの区分すべてで、築年帯が新しいほど高い順序になっています。
最も古い区分と最も新しい区分の差は約3.1倍です。ただし、その差が一定のペースで積み上がっているわけではありません。1981〜1990年から1991〜2000年への伸びは約29%、1991〜2000年から2001〜2010年へは約17%、2001〜2010年から2011〜2020年へは約22%、そして2011〜2020年から2021年以降へは約42%と、最も新しい区分への段差が最大になっています。
この段差の背景として、新築に近い物件は設備の状態や仕様が新しいこと、供給されている立地や規模が近年の開発事情を反映していることなどが挙げられます。ただし、それらが具体的にいくらの差になるかは表からは分かりません。表が示しているのは、築年帯ごとの㎡単価の中心がこの順序で並んでいるという事実までです。
- 1980年以前:780,000円/㎡(355件)
- 1981〜1990年:933,333円/㎡(323件)
- 1991〜2000年:1,200,000円/㎡(257件)
- 2001〜2010年:1,400,000円/㎡(634件)
- 2011〜2020年:1,714,286円/㎡(575件)/2021年以降:2,430,952円/㎡(168件)
成約価格の中央値が築年順に並ばないのは面積の構成が違うから
次に成約価格そのものの中央値を見ると、様子が変わります。1980年以前が3,400万円、1981〜1990年が3,100万円、1991〜2000年が6,600万円、2001〜2010年が6,100万円、2011〜2020年が8,200万円、2021年以降が12,000万円。1980年以前が1981〜1990年を上回り、1991〜2000年が2001〜2010年を上回るという、㎡単価とは逆の並びが2か所で生じています。
㎡単価は単調に上がっているのですから、この逆転は「古い物件のほうが高く評価されている」という意味ではありません。成約価格は㎡単価と面積の掛け算で決まるため、その築年帯でどれくらいの広さの住戸が取引されているかによって、価格の中心はいくらでも動きます。試みに各区分の成約価格中央値を㎡単価中央値で割ってみると、1981〜1990年は約33㎡相当、1980年以前は約44㎡相当、1991〜2000年は約55㎡相当という値になります。中央値同士を割った参考値にすぎませんが、区分ごとに取引の中心となる広さが違っていることは読み取れます。
売却を考えるうえで大切なのは、「新宿区の中古マンションはいくら」という総額の相場をひとつ覚えることではなく、ご自身の物件の面積と築年帯を組み合わせて考えることです。総額の中央値だけを見て自分の物件と比べると、面積の違いの分だけ見当が外れます。
件数の分布は「比べられる取引がどれだけあるか」を示している
件数にも目を向けてください。2001〜2010年が634件で最も多く、2011〜2020年が575件。以下、1980年以前355件、1981〜1990年323件、1991〜2000年257件、2021年以降168件です。2001年以降の3区分を合わせると1,377件で、全体2,312件の約6割を占めます。
件数が多い区分は、査定や価格の検討にあたって参照できる類似取引が集まりやすい区分だと言えます。逆に2021年以降の168件のように件数が限られる区分では、一件一件の条件差が中央値に与える影響が相対的に大きくなります。表の数字を自分の物件に当てはめるときは、その区分が何件から計算された値なのかを併せて見ておくと、受け取り方を調整できます。
なお、1980年以前と1981〜1990年を合わせると678件あり、築年帯としては決して少数派ではありません。新宿区では古い築年帯の取引も一定量が成立している、というのが表から読める事実です。
自分の物件の位置を掴んだ後に調べるとよいこと
まずは登記や購入時の資料から、建物の竣工年と専有面積を確認してください。竣工年でこの表のどの築年帯に入るかが決まり、その区分の㎡単価の中央値に面積を掛ければ、おおよその目安の起点が得られます。ただしこれは区全体の中央値を使った粗い計算です。同じ新宿区内でも駅からの距離、階数、向き、管理状態、大規模修繕の履歴などで実際の評価は変わりますし、この表にはそうした条件別の内訳は含まれていません。
次に確認しておきたいのは、建物と管理に関する書類です。管理規約、長期修繕計画、修繕積立金の残高、直近の大規模修繕の実施状況などは、買主側の判断材料になることがあります。1981年6月以降に確認申請を受けた建物には新しい耐震基準が適用されており、築年帯によって適用される基準や、利用できる可能性のある制度が異なる場合があります。制度の適用要件は物件ごとの事情で変わりますので、詳細は専門家に確認してください。
税金についても、居住用財産の譲渡や相続で取得した不動産の売却には特例が設けられている場合があります。適用の可否は取得の経緯や所有期間、居住の状況によって異なりますので、税理士や税務署に個別に確認するのが確実です。価格の検討や売却の実務は提携の専門業者が行いますので、書類が揃った段階で相談し、条件を絞り込んだ査定を受けてみるのが次の一歩になります。
よくある質問
- Q. 築年数が古いと、新宿区では売却が難しいのでしょうか。
- A. この表からは難しさそのものは読み取れませんが、件数の分布は参考になります。1980年以前が355件、1981〜1990年が323件で、合わせて678件の取引が集計対象期間に成立しています。㎡単価の中央値は1980年以前が780,000円/㎡、1981〜1990年が933,333円/㎡と新しい区分より低い水準ですが、取引そのものは一定量あるという状況です。個々の物件がどう評価されるかは立地や管理状態によって異なります。
- Q. 1991〜2000年の成約価格中央値6,600万円が、2001〜2010年の6,100万円より高いのはなぜですか。
- A. 成約価格は㎡単価と面積の掛け算で決まるためです。㎡単価の中央値は1991〜2000年が1,200,000円/㎡、2001〜2010年が1,400,000円/㎡で、新しい区分のほうが高くなっています。それでも総額の中央値が逆転しているのは、取引されている住戸の広さの中心が区分ごとに違うからです。中央値同士を割った参考値では、1991〜2000年が約55㎡相当、2001〜2010年が約44㎡相当となります。
- Q. 表の㎡単価に自分の物件の面積を掛ければ、売却価格が分かりますか。
- A. おおよその起点にはなりますが、そのまま売却価格になるわけではありません。この表は新宿区全体・築年帯だけで切った中央値であり、駅距離、階数、向き、専有部分の状態、管理や修繕の履歴といった条件は区別されていません。同じ築年帯・同じ面積でも実際の評価には幅があります。条件を反映した価格を知るには、資料を揃えたうえで専門業者の査定を受けるのが確実です。
- Q. 相続した物件を売る場合、築年数によって手続きや税金は変わりますか。
- A. 築年数そのものより、取得の経緯や所有期間、居住の状況によって適用される制度が変わる場合があります。相続で取得した不動産の売却について特例が設けられていることがあり、耐震性に関する要件が絡む場合もあります。適用の可否は個別の事情によって異なりますので、税理士や税務署、必要に応じて建築士など専門家に確認してください。この表からは税制について何も読み取れません。
※ 本記事の数字は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報を当サイトが条件で絞り込んで集計したものです。中央値は条件に当てはまる取引を価格順に並べたときの中央の値であり、個別の物件の価格でも、確定的な査定額でもありません。当サイトは宅地建物取引業を行いません。実際の売却の手続き・査定は提携する専門業者が行います。税制・法令の適用可否は個別事情により異なりますので、税務署・税理士・司法書士等の専門家にご確認ください。
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