港区の中古マンション、町名別に見た㎡単価と成約価格の中央値(20地区2,434件)
公開日: 2026-08-20
港区で中古マンションの売却を考えるとき、「港区の相場」という一つの数字はあまり役に立ちません。同じ区内でも町名によって取引の中身がかなり違うためです。この記事では、2025年第1四半期から2026年第1四半期までに記録された中古マンション等の成約2,434件を、地区(町名)ごとに㎡単価の中央値と成約価格の中央値で並べた表をもとに、その差がどこにどれくらいあるのかを数字に即して読み解きます。あわせて、自分の物件がどのあたりに位置するかを掴み、次に何を調べればよいかを整理します。
データ:港区の中古マンションを地区(町名)で見る
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格(取引価格情報)から、港区の中古マンション等について2025年第1四半期〜2026年第1四半期の取引を抜き出し、地区(町名)ごとに件数・㎡単価の中央値・成約価格の中央値を集計しました。件数が少なく数字が安定しない区分は除いてあります。
| 地区(町名) | 取引件数 | ㎡単価の中央値 | 成約価格の中央値 |
|---|---|---|---|
| 芝浦 | 308 | 1,907,843円/㎡ | 10,000万円 |
| 三田 | 241 | 2,235,294円/㎡ | 14,000万円 |
| 港南 | 237 | 1,777,778円/㎡ | 13,000万円 |
| 赤坂 | 227 | 1,916,667円/㎡ | 11,000万円 |
| 高輪 | 206 | 1,912,381円/㎡ | 10,000万円 |
| 白金 | 163 | 2,347,826円/㎡ | 15,000万円 |
| 芝 | 159 | 1,600,000円/㎡ | 5,200万円 |
| 南麻布 | 157 | 1,666,667円/㎡ | 9,600万円 |
| 南青山 | 142 | 1,800,000円/㎡ | 9,150万円 |
| 六本木 | 141 | 2,500,000円/㎡ | 14,000万円 |
| 西麻布 | 97 | 1,800,000円/㎡ | 8,500万円 |
| 海岸 | 89 | 1,600,000円/㎡ | 6,800万円 |
| 白金台 | 84 | 2,000,000円/㎡ | 12,500万円 |
| 虎ノ門 | 63 | 2,923,077円/㎡ | 19,000万円 |
| 浜松町 | 59 | 4,222,222円/㎡ | 24,000万円 |
| 麻布十番 | 54 | 1,780,000円/㎡ | 7,450万円 |
| 新橋 | 48 | 1,868,572円/㎡ | 4,900万円 |
| 東麻布 | 41 | 1,900,000円/㎡ | 7,000万円 |
| 東新橋 | 33 | 3,400,000円/㎡ | 27,000万円 |
| 元麻布 | 31 | 3,652,174円/㎡ | 35,000万円 |
- ㎡単価の中央値は、最も高い浜松町が4,267,857円/㎡、最も低い芝が1,560,714円/㎡で、約2.7倍の開きがあります。ただし20地区のうち13地区は1,560,714円/㎡〜1,944,444円/㎡という比較的狭い範囲に収まっており、突出して高い地区が少数ある構図です。
- 成約価格の中央値は、元麻布の32,500万円から新橋の4,800万円まで並びます。差は約6.8倍で、㎡単価の開き(約2.7倍)より大きく広がっています。価格の差は単価だけでなく、その地区で取引されている住戸の広さの違いも反映していると読めます。
- ㎡単価がほぼ同じでも成約価格が大きく違う組み合わせがあります。芝浦(1,907,843円/㎡)と海岸(1,909,091円/㎡)は㎡単価がほぼ並びますが、成約価格の中央値は10,000万円と7,100万円で2,900万円の差。高輪(1,942,857円/㎡・10,000万円)と白金台(1,944,444円/㎡・12,000万円)も同様の関係です。
- 件数は芝浦290件、港南229件、三田219件、赤坂218件が上位で、この4地区で956件、全体2,434件の約39%を占めます。一方で東新橋31件、元麻布28件のように件数の少ない地区もあり、同じ表の中でも数字の安定度には差があります。
※ 港区の「中古マンション等」のうち、地区(町名)が記録されている取引2,580件の集計です。中央値は価格順に並べたときの中央の値で、平均とは違い極端な取引に引っ張られません。件数が20件未満の区分は、数字が安定しないため表に出していません。
対象期間: 2025年 第1四半期〜2026年 第1四半期/集計対象 2,580件。 中央値は、条件に当てはまる取引を価格順に並べたときのちょうど中央の値です。 個別の物件の価格ではなく、確定的な査定額でもありません。
出典: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産価格(取引価格情報)(当サイトが条件で絞り込み集計。加工方法は本文に明記)
㎡単価は「200万円台以上の7地区」と「それ以外」に分かれる
表を㎡単価の中央値(価格順に並べたときの真ん中の値)で見ると、2,000,000円/㎡を超えるのは三田(2,235,294円/㎡)、白金(2,307,692円/㎡)、六本木(2,615,385円/㎡)、虎ノ門(2,923,077円/㎡)、東新橋(3,454,545円/㎡)、元麻布(3,549,342円/㎡)、浜松町(4,267,857円/㎡)の7地区です。残る13地区はすべて1,560,714円/㎡〜1,944,444円/㎡の範囲に収まります。
つまり港区内の㎡単価は、なだらかに散らばっているのではなく、少数の高単価地区と、それより下でかなり近い水準に固まった多数の地区という形になっています。最高の浜松町と最低の芝を比べると約2.7倍ですが、13地区の中だけで比べれば上下の差は1.25倍ほどにとどまります。自分の物件がこの13地区のいずれかにあるなら、隣接する町名との単価差はそれほど大きくない、という前提で見るのが実態に近いことになります。
なぜ一部の地区だけ単価が高く出るのかは、この表の数字からは分かりません。一般には、比較的新しい大規模物件が集中している地区や、取引された住戸のグレード・階数の構成が偏っている地区では単価が高めに出やすいとされます。件数が少ない地区ほどそうした偏りの影響を受けやすい点にも注意が必要です。
㎡単価が同じでも成約価格が数千万円違うのは、取引された広さの違い
成約価格の中央値は、元麻布32,500万円、東新橋27,000万円、浜松町25,500万円が上位で、下位は新橋4,800万円、芝6,100万円、東麻布6,950万円と続きます。上下の差は約6.8倍で、㎡単価の差(約2.7倍)よりずっと大きい。この差の一部は、地区ごとに「どれくらいの広さの住戸が売買されているか」が違うことから来ています。
分かりやすいのは、㎡単価がほとんど同じ地区どうしの比較です。芝浦は1,907,843円/㎡で成約価格の中央値10,000万円、海岸は1,909,091円/㎡で7,100万円。単価はほぼ同じなのに価格は2,900万円違います。高輪(1,942,857円/㎡・10,000万円)と白金台(1,944,444円/㎡・12,000万円)、赤坂(1,936,112円/㎡・11,000万円)も同じ単価帯にありながら価格中央値は異なります。単価が近い地区で価格が違う場合、その差は主に広さの違いを映していると読むのが自然です。
逆の例もあります。南麻布の㎡単価は1,669,697円/㎡で20地区中2番目に低い水準ですが、成約価格の中央値は9,700万円で、単価がそれより高い麻布十番(1,780,000円/㎡・7,700万円)や西麻布(1,833,333円/㎡・8,750万円)を上回ります。売却額の見通しを考えるうえでは、地区の単価と自分の物件の面積を切り分けて捉えることが出発点になります。
- ㎡単価が近い地区どうしで価格中央値を比べると、広さの違いが見えやすい
- 自分の物件は「地区の単価 × 自分の専有面積」でおおまかな位置を掴む
- ただし階数・向き・室内の状態・管理状況などは表に含まれていない
件数の多い地区と少ない地区で、数字の受け取り方を変える
件数は芝浦290件、港南229件、三田219件、赤坂218件、高輪195件が上位です。上位4地区の合計は956件で、全体2,434件の約39%にあたります。件数が多い地区は、それだけ比較できる取引事例が積み上がっているということです。売却を検討するときに、近い条件の事例を探しやすい環境にあるとも言えます。
一方、東新橋31件、元麻布28件、東麻布40件、新橋45件のように、件数が数十件にとどまる地区もあります。この規模だと、たまたま広い住戸や条件の良い住戸がいくつか含まれるだけで中央値が動きます。元麻布の成約価格中央値32,500万円や浜松町の㎡単価4,267,857円/㎡といった高い数字も、件数の少なさを踏まえて「そういう取引が実際にあった水準」として受け止め、自分の物件にそのまま当てはめないほうが安全です。
なお、この表は「町名別」という切り口だけで並べたものです。同じ町名の中にも築年数や規模の異なる物件が混在しており、そこは分けていません。町名で自分の位置をおおまかに掴んだら、次は築年帯や面積帯といった別の軸で見た数字と突き合わせるのが、精度を上げる順番になります。
表で位置を掴んだあとに調べること
最初にするのは、自分の物件が表のどの行にあたるかを確認し、その地区の㎡単価中央値に専有面積を掛けてみることです。これはあくまで出発点の目安で、実際の査定額はここから上下します。表に含まれていない要素、たとえば階数、方角、間取り、リフォームの履歴、管理費・修繕積立金の水準、建物全体の修繕計画などは、同じ地区・同じ広さでも結果を左右します。
売却の実務では、こうした個別事情を踏まえた査定を宅地建物取引業者が行います。当サイトは取引の当事者や媒介者にはならず、提携する専門業者が査定・売却の実務を担う立場です。複数の業者から見立てを取り、この表の水準とどう違うか、違う理由は何かを説明してもらうと、自分の物件の特徴が具体的に見えてきます。
税金や費用の扱いは事情によって変わります。相続した物件の取得費の考え方、居住していた住宅を売る場合の特例、共有名義や離婚に伴う持分の整理などは、適用の条件が細かく定められている場合があります。数字の目安を掴む段階と、税務・法務の判断をする段階は分けて進め、後者は税理士や司法書士などの専門家に個別に確認してください。
よくある質問
- Q. ㎡単価の中央値に自分の部屋の面積を掛ければ、売却価格が分かりますか。
- A. おおまかな出発点にはなりますが、それだけで売却価格が決まるわけではありません。この表は地区ごとの真ん中の水準を示したもので、同じ地区の中にも中央値より高い取引と低い取引が両方あります。階数や方角、室内の状態、建物の管理状況、売り出し時期などによって結果は変わります。掛け算で出た数字を持ったうえで、専門業者の査定と突き合わせ、差が出た理由を聞くという使い方が現実的です。
- Q. 浜松町や元麻布の数字が高いのは、この地区が特別に高いということですか。
- A. 表の期間に記録された取引の中央値が高かった、というのが正確な読み方です。浜松町は56件、元麻布は28件と件数が限られており、取引された住戸の広さやグレードの構成が偏ると中央値は動きます。地区の性質を反映している部分もあるとみられますが、件数の多い芝浦290件や港南229件の数字と同じ確度で比べられるわけではありません。件数の少ない行は幅を持って見るのが無難です。
- Q. 南麻布は㎡単価が低いのに成約価格の中央値が高いのはなぜですか。
- A. 南麻布の㎡単価中央値は1,669,697円/㎡で20地区中2番目に低い一方、成約価格の中央値は9,700万円です。単価が低くても価格が高く出るのは、その地区で取引された住戸が相対的に広い傾向にあることを示唆します。表からはこの二つの数字の関係までしか読めませんが、単価と面積は別の要素なので、売却検討では両方を分けて見る必要があります。自分の物件の面積が地区の傾向と離れている場合は、地区の価格中央値より査定が上下することがあります。
- Q. 町名別のほかに、どの切り口の数字を見ればよいですか。
- A. この表は町名という一つの軸だけで切ったもので、同じ町名の中の築年数や面積の違いは分けていません。次の段階としては、築年帯別、面積帯別、間取り別といった軸で集計した数字を見ると、自分の物件に近い条件の水準が絞り込めます。町名で大まかな位置を掴み、別の軸で条件を近づけていく順番が効率的です。そのうえで、実際の査定額と数字のずれを専門業者に説明してもらうとよいでしょう。
※ 本記事の数字は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報を当サイトが条件で絞り込んで集計したものです。中央値は条件に当てはまる取引を価格順に並べたときの中央の値であり、個別の物件の価格でも、確定的な査定額でもありません。当サイトは宅地建物取引業を行いません。実際の売却の手続き・査定は提携する専門業者が行います。税制・法令の適用可否は個別事情により異なりますので、税務署・税理士・司法書士等の専門家にご確認ください。
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